お子さんの通塾を検討していても、いざとなると具体的な塾選びで迷ってしまう親御さんは多いと思います。
近年の学習塾は多様化しているため、いったいどんな塾が我が子に合っているのかを判断するのが難しいというお声を非常によく耳にします。
そこで今回は、学習塾の大まかな種類とその特徴、そして集団指導塾と個別指導塾ではいったい何が違うのかといった内容を解説いたします。
本記事を読んでいただくことで、各種学習塾の違いが分かり、さらにお子さん自身にマッチする塾の種類も選ぶことが可能となります。
ぜひ最後までお読みください。
学習塾選択の大前提:進学塾か補習塾か?
本記事では「集団指導塾」「個別指導塾」の特徴や違いについてご紹介していくわけですが、その前に大前提として気にかけていただきたいことがあります。
それは、その塾が「進学塾」と「補習塾」のどちらであるか、ということです。
「進学塾」と「補習塾」とでは、教材はもちろん、カリキュラムや講師陣の指導方針も違いますので、お子さんがどちらをより必要としているか見極める必要があります。
進学塾とは?
少しでも学力レベルの高い中学校・高校に進学することを第一の目的として、カリキュラムが組まれている塾のことです。
大手チェーンの集団指導塾のほとんどは、この「進学塾」に当てはまります。
最終的に入試問題を解く力を身につけることが目的なので、教材や授業の進め方も入試で高得点を取ることに焦点をあてた内容となります。
講師たちも基本的に生徒の学力を高めることを最重要視しており、少しでも学力を上げようとレベルの高い授業を展開します。
一方、学校の教科書そのものや、それに準拠した教材を使った授業は行いませんので、中学生の定期試験対策はほぼ自習形式であったり、そもそもなかったりします。
補習塾とは?
学校の授業にしっかりとついていき、学校のテストの点数を取れることを第一の目的として、カリキュラムが組まれている塾のことです。
地域密着の集団指導塾や、大手チェーンの個別指導塾の多くはこの「補習塾」に当てはまります。
「補習塾」では基礎学力の養成を目的とし、生徒一人ひとりに合わせた教材の選定や、カリキュラムの策定が行われます。
補習塾のプロ講師は基礎力を鍛えることに関するプロフェッショナルです。時には優しく、時には厳しく、しっかりと学習習慣から身につけさせてくれる素晴らしい講師もたくさんいらっしゃいます。
一方、学生アルバイトの講師を雇っている補習塾も多く、「講師が生徒のペースに合わせ過ぎた結果成績が上がらない」などということも起こり得るため、塾そのものをしっかりと見極める必要があります。
集団指導塾と個別指導塾の違い
それでは本題となる集団指導塾と個別指導塾の違いを解説します。
まずは大まかな特徴を確認してみましょう。
集団指導塾 | 個別指導塾 | |
同時に受講する人数 | 10名~30名 | 1名~3名 |
講師はどんな人か | 社会人講師(プロ講師)が多い | 学生講師が多い |
指導内容 | カリキュラムが固定されている | 生徒に応じて内容を決める |
料金の目安 | 1コマあたり1000~2000円 | 1コマあたり5000~8000円 |
集団指導塾では、社会人講師が定められたカリキュラムに沿って授業を行うのが一般的です。
中には学生アルバイトの講師もいますが、現場に配属される前に研修を受けているため授業の質に問題はありません。
質の高い授業を比較的安く受けられる一方で、生徒一人ひとりの弱点補強や定期テスト対策についてはシステム上難しい面があります。
個別指導塾では、大学生や大学院生のアルバイト講師が指導を担当するのが一般的です。
カリキュラムについてはほとんどの塾がオーダーメイド制を採用しています。
苦手な教科や単元を重点的に教わったり、定期テスト前には対策してもらったりすることができます。
1コマあたりの値段は高額になりますが、授業内容だけではなく、曜日や時間もお子さんの事情に合わせて受講できるのが魅力です。
集団指導塾に通うメリット5選
それでは、集団指導塾の特徴について解説していきます。
今回は塾をお探しの保護者の方の多くが意識していらっしゃると思われる、「進学塾タイプの集団指導塾」について主にご説明します。
集団指導塾に通うメリットはさまざまですが、今回は特に大きなメリットを5つご紹介します。
① 講師の質が高い可能性が高い
大手チェーンといわれるような規模の大きい集団指導塾では、採用後にしっかりした研修を受けてから塾の現場に配属されるシステムが採用されています。
そのため、授業スキルの高い講師の割合が大きくなります。
学生バイト講師を採用している大手チェーン塾もたくさんありますが、学生講師であっても同様の研修を受けているので、授業の質について心配する必要はありません。
また、入試システムに関する情報や実際の受験データを大量に持っているのも大手集団指導塾の特徴です。
保護者面談などの進路相談の場面では、膨大なデータを元にした、より具体的なアドバイスを得られるでしょう。
② 学校内容を先取りするカリキュラム
進学塾では、学校より早くカリキュラムが進むのが一般的です。
たとえば中学生の場合、多くの塾では中3の夏から秋にかけて全教科の単元学習が終わるようにカリキュラムが設定されています。
学校よりカリキュラム設定が早いのは、秋以降には入試に向けた実践的な問題演習がメインになってくるためです。
公立高校を目指すクラスでは、その都道府県の出題形式に合わせた問題演習を繰り返し行いますし、国私立高校を目指すクラスであれば、教科書のレベルを超えたハイレベルな問題演習を何度も実施するようにカリキュラムが定められています。
進学塾が難関校入試に強いのは、先取りカリキュラムを採用することで、秋以降は志望校対策だけに焦点を絞った学習が可能になるからなのです。
また、お子さんは、まず塾で新しい単元を習ってから、学校で2回目の学習をするという形になるため、余裕を持って学校の授業を受けられるのもメリットであるといえるでしょう。
③ 仲間と切磋琢磨できる環境がある
集団指導塾では学力レベル別にクラスが設定されており、お子さんの実力に合わせた指導を受けることが可能です。
自分自身の学力に合った授業を、実力の近い仲間たちと一緒に受けられるので、それがいい刺激になるという声もよく耳にします。
中には積極的にライバル宣言をして競い合うような活発なお子さんたちもいますが、そうでないお子さんたちでもテスト結果のランキングが掲示されたらすぐに見に行ったり、テストの帳票を仲の良いお友達と見せ合ってあれこれ話していたりする姿が見られます。
私自身も勤務していた塾で、普段はおとなしく、そこまで感情を顔に出さない生徒から「授業中に他の子が褒められている様子を見て『自分も頑張ろう!』と奮起した」という話を聞いたことがあります。
学校ではクラスや部活といった要素も人間関係に影響してきますが、集団指導塾では純粋に「学力を高め合うライバル」としての仲間意識を元にした人間関係の構築が可能です。
④ 学力別に品質の高い教材を使用している
学習塾で使用されている教材は大きく2種類に分けることができます。
・自社教材:その塾の中に教材作成部門があり、専門の担当者が作成した教材
・専用出版社による教材:学習塾教材を専門に作成する出版社に依頼した教材
いずれも入試問題を研究し尽くしたプロの手による教材なので、基本から応用まで良質な問題が掲載されており、効率的な学習が可能となっています。
また、集団指導塾では学力レベルに応じて複数のテキストを使い分けるのが一般的で、お子さん自身の学力レベルに合わせた教材を使用した授業を受けることが可能です。
⑤ 1コマあたりのコストパフォーマンスが高い
集団指導塾では、塾の運営にかかるさまざまな費用を通っているご家庭全体で支払う形になるため、個別指導塾に比べると1コマあたりのコストパフォーマンスは高くなります。
ただし、特に大手チェーン塾と呼ばれるような集団指導塾では、夏期講習や冬期講習といった季節講習の際にオプション講座の受講を勧められるケースが多いため、年間の通塾費用そのものはそれなりにかかるのも事実です。
集団指導塾に通うデメリット5選
一方で、集団指導塾に通うことにはデメリットも存在します。
本項目では集団指導塾のデメリットを5つご紹介します。
① カリキュラムが決まっていることにはデメリットもある
集団指導塾では、基本的に年間のカリキュラムがきっちり定められています。
入試に向けて効率的に学習ができる一方、苦手な教科や単元があってもそこだけを集中的に復習するような授業を受けることはできません。
もちろん、講師に個人的に質問をするといった形でフォローを受けることは可能ですが、その間にも通常の授業ではどんどん先へ進んでいくことになります。
苦手分野だけに絞ってじっくり取り組むような学習をしたいお子さんには、少ししんどさがあるかもしれません。
また、学校を先取りするようにカリキュラムが組まれているため、年度の途中から入塾した場合に「カリキュラムギャップ」と呼ばれる現象が発生するおそれがあります。
カリキュラムギャップとは「学校でもまだ習っていない単元が、塾では既に終わってしまっている」という状態のことです。
授業自体は「知っている前提」で進んでしまうので、自分で学習したり、講師に質問したりしてギャップを埋める必要性が生じます。
② 曜日・時間の柔軟な選択はできない
集団指導塾では、当然ですが各学年・クラスの曜日や時間が固定されています。
他の習い事をしている等でスケジュールが合わない場合には、ご家庭の方が塾に合わせて予定を調整する必要があります。
また、体調不良や用事で授業を欠席した場合にも、振替授業は受けられないのが一般的です。
講師が個別にフォローをしてくれる塾が多数派ですが、授業本番と同じクオリティで指導を受けられる保証はないというのが現実です。
一部の学習塾では同じ授業を「月・木」と「火・金」の2回実施していて、たとえば「月曜日に欠席した授業を火曜日の方で受講できる」といったシステムを採用していることもあります。
欠席時の対応については塾によって大きく異なるため、お問い合わせの際に直接質問してみましょう。
③ 塾の雰囲気や担当講師がお子さんと合わない場合がある
集団指導塾にはそれぞれカラーがあります。
特に大手チェーン塾であれば講師に一律の研修を行っているわけですから、講師たちは会社の理念に基づいて指導を行っているわけです。
同じ集団指導塾といっても「ビシバシ鍛えてくれる体育会系の厳しい塾」もあれば「一人ひとりに寄り添って支えることを売りにしている塾」もあります。
お子さんの性格に合わせた塾選びをしないと、雰囲気が合わずに通塾が苦痛になってしまうおそれがあります。
集団指導塾を検討する際には、できれば体験授業や授業見学をさせてもらい、実際の雰囲気をお子さん本人が味わっておくのがおすすめです。
また、塾講師もお子さんも人間同士ですから、ときには「塾自体は気に入っているけれど、この先生だけはどうしても苦手だ……」となってしまうケースも発生します。
個別指導塾であれば担当を交代してもらうシステムがあることが多いのですが、集団指導塾ではそうもいきません。
残念ながら担当との相性問題を改善するのは非常に難しいです。
ただし、原因が明らかに講師側にあると思われる場合には、遠慮せず校舎長・責任者・コールセンターなどに相談してみましょう。
④ 講師が忙しくて質問しづらい塾が多い
大手チェーン塾の多くでは、小学生・中学生・高校生など幅広い学年の生徒を受け入れるコース設定がされています。
集団指導塾の講師は基本的に、複数の部門にわたって授業を担当するのが一般的です。
そのためどうしても「小学生が授業後に質問をしたくても、中学生の授業があって断られる」「中学生が授業前に質問をしたくても、小学生の授業があるから無理と言われた」という問題が発生します。
土曜日などを使って質問対応を受け付けている学習塾もありますが、今度はお子さん側が土曜日には別の習い事があって難しい……というケースも少なからず見られます。
また、塾自体が自宅から遠い場合には、できれば授業日以外には行きたくないという方もいるでしょう。
苦手な単元を強化したい、分からない問題をじっくり解決したいというときに、集団指導塾は対応が難しくなりがちです。
⑤ 過剰にプレッシャーを感じてしまうお子さんも
集団指導塾では、決まったカリキュラムがどんどん進んでいきます。
また宿題が大量に出る塾や、その宿題をこなせなかったときに厳しく叱責するような塾も世の中にはあります。
中には過剰にプレッシャーを感じてしまうお子さんがいるのも事実です。
厳しい塾に通わせていると「塾に行きたくない……」とお子さんが言い出すこともあるかもしれません。
そういうときには、なぜ行きたくないのか、その原因はどこにあるのか、ゆっくり聞いてあげていただきたいです。
あまりにも強いプレッシャーをお子さんが感じている場合は、以下のような対応策が考えられます。
① 受講する教科数を減らして負荷を減らす
② 宿題の量を調整できないか担当講師に相談してみる
③ そもそも塾自体を変えてしまう
いきなり③の転塾を選ぶのは、お子さん自体が罪悪感を抱えてしまう可能性もあるためあまり得策とはいえません。
まずは①か②が可能かどうか、塾に問い合わせてみるのがおすすめです。
【結論】集団指導塾が向いているお子さんは?
集団指導塾、特に進学塾タイプの集団指導塾に向いているのは以下のようなお子さんです。
- 学力の近い仲間たちと競い合いながら勉強するのが好き
- 積極的に講師に質問しに行くことができる、塾をうまく利用できる
- よりレベルの高い学習をしたいという向上心がある
個別指導塾に通うメリット5選
それでは、続いては個別指導塾のメリット・デメリットについてご紹介します。
個別指導塾にも進学塾タイプ・補習塾タイプの両方がありますが、本記事では個別指導塾の中で圧倒的多数を占める「補習塾タイプの個別指導塾」についてご説明します。
個別指導塾に通うメリットは非常に多岐にわたりますが、今回はその中から厳選して5点ご紹介します。
① 自分の苦手な教科や単元を重点的に学習できる
個別指導塾最大のメリットは、お子さん自身の苦手な教科や単元について、理解できるまでじっくり教えてもらえるという点でしょう。
中学生であればやはり数学や英語に苦手意識を持つお子さんが多いのが事実です。
そして、数学も英語も過去の単元に抜けがあるままでは、新しいことを習っても成績向上には繋がらないという性質があります。
実際に私自身が指導してきた生徒でも「中2の連立方程式が分からないと言ってきたが、実は小学校での『速さ』や『単位量あたりの大きさ』の単元につまずきがあって、式が立てられないのが原因だった」ということがあります。
個別指導塾であれば、必要に応じて過去の内容を学習し直すことが可能です。
これは集団指導塾に通っていては受けられない大きな恩恵でしょう。
② 講師と1対1~1対3なので気軽に質問できる
集団指導塾では、1つのクラスの人数が10人~20人くらいであることが多く、授業中に発言するのはちょっと恥ずかしいと感じてしまうお子さんも少なくありません。
一方、個別指導塾の授業は講師1名に対し生徒1~3名で行われるのが一般的です。
講師からも「質問はない?」と積極的に生徒に話しかけていきますし、生徒からも講師に話しかけやすい環境が整っています。
内気なお子さんでも、質問や疑問をそのままにせず、しっかりひとつひとつ解消していくことができるでしょう。
過去に教えていて「塾をうまく使えているなぁ」と思った例としては「学校で分からなかった問題すべてに付箋を貼っておいて、塾に来たら授業の最初に質問する」という生徒もいました。
塾講師をしていて生徒から質問されるのが嫌だという人はいません。
個別指導塾で指導を受けるのであれば、ぜひ積極的に質問し、講師をフル活用しましょう!
③ 授業を受ける曜日・時間についてある程度の融通が利く
集団指導塾では授業の曜日や時間が固定されていますが、個別指導塾ではご家庭の希望する曜日・時間に授業を受けることが可能です。
また、ほとんどの個別指導塾では、事前に申し出れば特定の日だけ別の日程に振り替えることもできます。
ご家庭の予定に応じて柔軟なスケジュールで授業を受けられるのは、個別指導塾の大きなメリットのひとつです。
スポーツのクラブチームや他の習い事を続けながら勉強したいというお子さんには、個別指導塾が合っているといえるでしょう。
④ 若い講師が多く親しみやすい雰囲気がある
多くの個別指導塾の講師は大学生のアルバイト講師です。
「大学生の講師って大丈夫なの…?」と心配される保護者も多いのですが、基本的に塾講師のアルバイトを選ぶような大学生は真面目な方が多く、指導スキルにおいて問題が生じることはほとんどありません。
そして小中学生にとってはベテランの講師よりも若いお兄さん・お姉さん先生の方が親しみを感じやすく、話しかけやすく感じる傾向にあります。
集団指導塾では委縮してしまうお子さんでも、個別指導塾に通い始めてからは楽しく通えるということは非常によくあります。
内気なお子さんや女の子は、個別指導塾の方が合っているケースが多いです。
⑤ 担当講師との相性が合わなければ交代も可能
ほとんどの個別指導塾には、講師との相性が悪かった場合には交代してもらえるシステムがあります。
テンションが高い先生が好きなお子さんもいれば、落ち着いた先生の方が安心できるお子さんもいるでしょう。
あるいは、理論や理屈を最初からじっくりと筋道立てて教わりたいお子さんもいれば、最低限のメソッドだけ教わってどんどん問題を解きたいお子さんもいるはずです。
個別指導塾側もそのことはよく理解しているので、講師交代システムを導入しているのです。
交代システムがあるといっても遠慮してしまうご家庭やお子さんは多いようですが、遠慮する必要はまったくありません。
お子さんを個別指導塾に通わせる目的は「成績を上げること」であるはずです。
成績向上という目的を達成するために、講師交代システムも上手に利用していきましょう。
個別指導塾に通うデメリット5選
一方で、個別指導塾に通うことについてのデメリットも存在します。
個別指導塾の場合は、大手チェーン塾であってもフランチャイズで経営されている教室も多く、オーナーや校舎の責任者によってかなりカラーが異なります。
したがって、今回ご紹介するケースに当てはまらない塾もたくさんあるのも事実です。
① 学生講師が多く研修期間も短いことが多い
個別指導塾の講師の大半が大学生のアルバイト講師であるということは先ほども述べた通りです。
基本的に真面目な方が多いので、講師本人の人格や学力に問題があるというケースはほとんど見られませんが、個別指導塾では集団指導塾ほどしっかりした研修を行っていない傾向があるのは事実です。
つまり、講師本人に高い学力があっても、教えるスキル自体は現場で独力で学んでいる場合が大多数ということになります。
そのため、手厚い研修のある集団指導塾の講師と比べると、個別指導塾で働いている大学生講師の指導スキルにはばらつきがあります。
また、大学生講師であることのデメリットとしては以下のようなことも考慮に入れておく必要があります。
① 講師自身の試験期間に休みを取る可能性がある
② 講師自身の就職活動や教育実習のために長期間の休みを取る可能性がある
③ そもそも最大で4年間(大学院まで行っても6年間)で辞める先生である
② 担当講師が毎回固定ではない場合がある
①の内容と重複する部分でもありますが、塾の中にはそもそも担当が固定制になっていないシステムの個別指導塾も存在します。
あくまで私個人の意見ではありますが、担当が固定制ではない個別指導塾はあまりおすすめしません。
毎回の授業内容の引き継ぎ自体はもちろん行われますが、それでもお子さん一人ひとりの細かい性格や問題を解くときのクセまでは引き継ぐことが難しく、さらに指導方法も一貫したものではなくなる可能性が高いためです。
同じ単元の続きなのに、説明の仕方がまったく異なる先生に当たってしまったら、お子さんは混乱してしまいます。
これは塾そのもののシステム面の問題になりますので、毎回同じ先生に教わりたい場合には事前に確認しておくことをおすすめします。
③ 「自分のペース」になり過ぎてカリキュラムが進まない
個別指導塾の大きなメリットとして「自分の苦手なところをじっくり勉強できる」というものが挙げられます。
しかし、これが悪い方に作用してしまう場合もあります。
苦手な単元を完璧に理解しようとしすぎた結果、あまりに長い時間を費やしてしまい、その分カリキュラムが進まなくなるという問題です。
特に中学生であれば、数か月に一度は定期考査がやってきます。
定期考査は高校入試において非常に重要なテストですから、少しでもいい点数を取るためにじっくりと準備をする必要があるはずです。
過去の単元にこだわり過ぎて、目の前の大事なテストをおろそかにしないよう、注意が必要です。
④ 教室長・責任者が教育に詳しいとは限らない
個別指導塾を運営している企業や運営形態はさまざまです。
たとえば以下のような形態があります。
- 集団指導塾も実施している学習塾が直営している個別指導塾
- 集団指導塾も実施している学習塾がフランチャイズ経営者に運営を任せている個別指導塾
- 個別指導専門の学習塾が直営している個別指導塾
- 個別指導専門の学習塾がフランチャイズ経営者に運営を任せている個別指導塾
上記の中でもっとも信頼できるといえるのは①の「学習塾直営の個別指導塾」です。
①の責任者は、集団指導塾の方の社員であるケースが多く、一定以上の進路指導や指導スキルを持っている可能性が高いからです。
同様に③の「個別指導塾の直営教室」についても、責任者がしっかりと研修を受けている可能性が高く、信頼できるといえるでしょう。
質にばらつきがあるのは②・④のフランチャイズ経営の個別指導塾です。
もちろんフランチャイズ塾がすべて悪いというわけではありませんが、中にはオーナーが教育そのものにはまったく興味がなく、完全に営利目的で経営しているという個別指導塾もあります。
その場合、現場の教室長にも教育業界未経験の人員を採用している場合があります。
進路指導や学習相談もしっかり受けたいとお考えの場合には、問い合わせの時点である程度具体的な質問をしてみて、責任者がどれくらい対応できそうか確認してみてください。
⑤ 集団指導塾に比べるとお金がかかる
個別指導塾は集団指導塾と比べるとどうしても割高になります。
単純に「1人の講師が1コマ分働く給与を何人で分担して支払っているか」が異なるため、個別指導塾の方がコストがかかるのです。
たとえば「中学3年生が5教科指導を受ける」場合、集団指導塾であれば通常月にかかる費用は4~5万円前後です。
一方、同じように「中学3年生が5教科指導を受ける」場合、個別指導塾で週に1回、1教科ずつ受講すると仮定すると月に7万円~8万円かかります。
さらに夏期講習や冬期講習などの季節講習が絡むと、多くのコマ数を受講することを提案され、必要な費用は跳ね上がります。
【結論】個別指導塾が向いているお子さんは?
個別指導塾の方が向いているお子さんの傾向としては、以下のようなものが挙げられます。
- 特に苦手な教科があり、じっくり克服したい
- 部活やクラブチーム活動、他の習い事と並行して学習したい
- どちらかというと内気で、大勢の中だと質問しづらい性格である
まとめ│塾の特性を知った上でお子さんに合った塾選びを
今回は、集団指導塾と個別指導塾についてそれぞれのメリット・デメリットを解説しました。
結局のところどの塾にも良いところ、悪いところはありますし、実際の塾の雰囲気などは見て確認しないと分かりません。
また、今回ご紹介できなかった「集団指導×補習塾」や「個別指導×進学塾」もたくさんあります。
最終的にはお子さんが「ここで勉強したい!」と感じた塾を選ぶのが正解であるといえるでしょう。
ただ、どういった視点から塾を選ぶかの目安として本記事がお役に立っていれば幸いです。