「昔はよかった」「今どきの若い者は…」
――こんなフレーズを日常的に耳にする機会はありませんか? もしかしたら、あなたの職場にも「昭和脳」全開の上司がいるかもしれません。彼らは決して悪意があってそうしているわけではありません。むしろ、自分なりのやり方で会社や部下のために尽くしているつもりなのです。
しかし、その善意の押し付けが、時として職場の空気を重くし、社員のモチベーションを下げ、果ては会社の成長の妨げになっていることも…。
本記事では、よくある「昭和世代上司の非常識」を10個ピックアップし、皮肉を込めて解説します。「うちの上司にそっくり!」と思わずニヤリとしてしまう人もいれば、「もしかして自分も…?」と背筋が凍る管理職の方もいるかもしれません。
世代間ギャップを埋め、より良い職場環境を作るためのヒントが、この「あるある」の中に隠れているかもしれません。さあ、昭和の香り漂う職場の生態を、一緒に覗いてみましょう。
①残業は美徳だと考え、早く帰る社員を暗に批判する

昭和世代の上司にとって、残業は単なる労働時間の延長ではありません。それは献身と忠誠心の証であり、会社への愛情表現なのです。
彼らの世界では、定時で帰宅することは、さながら恋人とのデートをすっぽかすようなものです。定時退社の社員を見るたびに、彼らの眉間にはしわが寄ります。「最近の若い者は…」という言葉が、喉元まで出かかっているのが見て取れます。
彼らにとって、仕事への情熱は残業時間で測られます。効率的に仕事をこなし、プライベートの時間を大切にする若手社員は、まるで異星人のように映るのでしょう。「君、今日は早いんだね」という一言には、「君は会社への愛が足りない」という批判が込められています。
昭和上司の頭の中では、残業をしない=仕事をしていない、という等式が成り立っているのです。
②飲み会への参加を強制的に求め、欠席を快く思わない

昭和世代の上司にとって、飲み会は単なる酒宴ではありません。それは神聖な儀式であり、チームビルディングの核心なのです。
彼らの論理では、お酒の力を借りてこそ、本音のコミュニケーションが取れるのです。「飲みニケーション」という言葉を、彼らは妙に誇らしげに使います。
飲み会の案内が回ってくると、それは半ば強制参加のオーダーとなります。「参加できない理由」を聞かれますが、それは単なる形式です。どんな理由を述べても、「それくらい何とかならないのか」という視線が突き刺さります。家族との約束も、体調不良も、彼らにとっては言い訳でしかありません。
昭和世代の上司は、飲み会こそが、真の仕事の場だと信じて疑わないのです。断る勇気のある社員は、昇進の機会を失うリスクを覚悟しなければなりません。
③「昔は○○だった」と過去の経験ばかり持ち出す

昭和世代の上司にとって、過去は輝かしい黄金時代です。彼らの口癖は「昔は…」で始まり、現在の状況への不満で終わります。新しいアイデアを提案すると、まるでタイムマシンに乗ったかのように、瞬時に20年前、30年前の話が始まるのです。
彼らの過去の経験は、まるで万能薬のようです。営業の苦戦には「昔は足で稼いだものだ」、技術の進歩には「昔はすべて手作業だった」と、どんな問題にも過去の経験で対応しようとします。
しかし、彼らは時代の変化を考慮に入れることを忘れています。スマートフォンもSNSも存在しなかった時代の経験が、現代のビジネス環境にそのまま適用できるはずがありません。それでも、彼らは過去の栄光にしがみつき、現在の課題に向き合うことを避けているのです。
④チャットやメールよりも電話や直接対面でのコミュニケーションを好む

昭和世代の上司にとって、コミュニケーションは「顔を合わせて」行うものです。チャットやメールは、彼らにとってはまるで異星人の言語のようです。「ちょっと来てくれ」という呼び出しは日常茶飯事で、席を立つ回数が多いほど仕事をしている気になるようです。
彼らは、Slackのメッセージを無視し、メールの返信に何日もかかることがあります。しかし、電話をかければ即座に応答し、「なぜメールで済ませないんだ」とため息をつく若手社員を不思議そうに見ます。彼らにとって、文字だけのコミュニケーションは不十分で不確実なのです。表情や声のトーンを直接確認できないと、相手の真意を測りかねると考えているのでしょう。
結果として、リモートワークの導入は難航し、遠隔地とのスムーズな協働にも支障をきたします。「やっぱり対面でないと…」という言葉が、イノベーションの足かせとなっているのです。
⑤新しいテクノロジーやツールの導入に消極的で、従来のやり方に固執する

昭和世代の上司にとって、新しいテクノロジーは未知の領域であり、恐るべき敵なのです。彼らの机の上には、いまだに分厚い手帳が鎮座しています。スマートフォンのカレンダーアプリの存在を知らされても、「紙の方が安心する」と頑なに主張します。
クラウドサービスの導入提案には、「セキュリティが心配だ」と即座に却下。しかし、重要書類を鍵のかからない引き出しに放置することには何の疑問も感じていません。プロジェクト管理ツールの使用を提案すると、「エクセルで十分だ」と一蹴されます。その結果、チームのメンバーは複数のバージョンが飛び交う混沌としたエクセルファイルと格闘することになるのです。
彼らにとって、「慣れたやり方を変える」ことは、まるで命を削るようなストレスなのでしょう。新しいツールの学習に時間をかけるくらいなら、非効率でも慣れた方法で乗り切る方が良いと考えているようです。結果として、業務の効率化は進まず、若手社員のフラストレーションだけが溜まっていくのです。
⑥プライベートと仕事の境界線を無視し、休日でも連絡してくる

昭和世代の上司にとって、「仕事」と「プライベート」の区別はあってないようなものです。彼らの頭の中では、社員は24時間365日、会社のために存在しているのです。土曜の朝9時、彼らからの電話で目を覚ますこともしばしば。「ちょっと確認したいことがあってね」と、まるで平日の昼間にでも話しかけるような調子で会話を始めます。
彼らは「有給休暇」を取る部下を見ると、まるで背徳的な行為を目撃したかのような表情を浮かべます。「君、今日休みだったのか」というメッセージには、「でも仕事の連絡くらい返せるだろう」という暗黙の期待が込められています。
休日や深夜のメールには「すぐに返信する必要はありません」と一応断り書きがついていますが、その実、数時間以内の返信を期待しているのです。彼らにとって、仕事とプライベートの境界線は、砂浜に引いた線のようにあってないようなもの。潮が満ちれば簡単に消えてしまうのです。結果として、社員のワークライフバランスは崩壊し、燃え尽き症候群の予備軍が着々と増えていくのです。
⑦悪気なく女性差別的な言動をする

昭和世代の上司にとって、「男女平等」は建前であって本音ではないようです。彼らの頭の中では、いまだに「男は仕事、女は家庭」という古い価値観が根強く残っています。
会議の場で女性社員が鋭い指摘をすると、「さすが主婦の感覚は違うね」と、あたかも褒めているかのような口調で言います。その言葉の裏には、「ビジネスの本質を理解しているのは男性だ」という傲慢な思い込みが透けて見えます。
育児との両立に苦心する女性社員に対しては、「子育ては大事だからね」と優しく声をかけます。しかし、その直後に重要なプロジェクトから外してしまうのです。彼らの頭の中では、「子育て中の女性に責任ある仕事は任せられない」という偏見が根付いているのです。
女性社員の昇進について議論する際には、「彼女は優秀だけど、やっぱり管理職は男性の方が向いているんじゃないかな」と、さも当然のように言います。このような発言をする際、彼らは自分が差別的だとは全く気づいていません。むしろ、女性に対して配慮しているつもりなのです。
結果として、能力のある女性社員のキャリア形成が阻害され、企業の多様性と創造性が損なわれていくのです。
⑧パワーハラスメントと思われる言動を「愛のムチ」だと正当化する

昭和世代の上司にとって、厳しい指導は「愛情表現」の一種です。彼らの信条は「可愛い子には旅をさせよ」。しかし、その「旅」が苦行に近いものであることは想像もしていないようです。新入社員に対して「これくらいできて当たり前だ!」と怒鳴りつける姿は、まるで軍隊の訓練場のようです。
彼らは「俺だって昔はもっとひどい目に遭った」と、自分の若かりし頃の苦労話を得意げに語ります。そして「今の若い者は根性がない」と嘆くのです。しかし、彼らは時代の変化と共にハラスメントに対する社会の認識も変わったことを理解していません。
部下を大声で叱責した後、「厳しくするのも君のためだ」と諭します。まるで自分を良い上司だと思い込んでいるかのようです。「僕の指導があったからこそ、君は成長できたんだ」と、まるで恩を着せるかのように語るのです。
しかし、その「指導」によって部下のメンタルヘルスが蝕まれていることには気づいていません。結果として、優秀な人材が次々と離職し、職場の雰囲気は日に日に悪化していくのです。
⑨個人の事情よりも会社への忠誠心を重視する

昭和世代の上司にとって、会社は第二の家族、いや、場合によっては第一の家族です。彼らの価値観では、個人の人生よりも会社の利益が優先されるべきなのです。「会社あっての個人」という言葉を、まるで人生の真理のように口にします。
社員が家庭の事情で早退を申し出ると、「君の代わりはいくらでもいるんだぞ」と暗に脅しをかけます。長期休暇の申請には、まるで非国民でも見るかのような目つきで「君は会社への帰属意識が低いんじゃないか」と詰め寄ります。彼らにとって、プライベートの充実は「甘え」でしかありません。
転職の話題は彼らにとってタブーです。「終身雇用」や「年功序列」が当たり前だった時代の価値観が、いまだに彼らの中で生き続けているのです。キャリアアップのために転職を考えている社員には、「裏切り者」のレッテルを貼ります。結果として、社員は自己実現の機会を失い、会社は新しい風を取り入れる機会を逃してしまうのです。
⑩上下関係を重んじすぎて、若手の意見を軽視する傾向がある

昭和世代の上司にとって、組織は厳格なピラミッド構造であるべきです。彼らの世界では、年齢と地位が比例し、若いイコール未熟という図式が成り立っています。会議の場で若手社員が斬新なアイデアを提案しても、「若いんだね」と慈愛に満ちた(しかし軽蔑の底が見え隠れする)微笑みを浮かべるだけです。
彼らは「若い者の意見も聞くべきだ」と口では言いますが、実際には若手の発言にろくに耳も傾けません。「君たちにはまだ分からないだろうが」と前置きをしてから、自分の意見を押し付けるのです。若手社員が先輩の意見に反論しようものなら、「目上の人間に向かって何だその態度は」と叱責されることでしょう。
彼らの頭の中では、「若手は黙って先輩の背中を見て学べ」という考えが支配的です。しかし、そのような態度が若手の成長を阻害し、組織の活力を奪っていることには気づいていません。結果として、若手の斬新なアイデアは葬り去られ、組織は時代に取り残されていくのです。
まとめ|
昭和世代の上司たちのこれらの行動は、決して悪意から生まれたものではありません。彼らなりの「正しい」やり方で組織を導こうとしているのです。しかし、急速に変化する現代社会において、これらの価値観や行動様式は、しばしば組織の足かせとなってしまいます。
重要なのは、世代間の相互理解と対話です。昭和世代の経験から学ぶべき点は多々ありますが、同時に新しい価値観や働き方を取り入れる柔軟性も必要です。組織が健全に成長するためには、異なる世代が互いの強みを認め合い、弱点を補完し合う関係性を築くことが不可欠なのです。
ただし、この記事で挙げた特徴はあくまでステレオタイプであり、すべての昭和世代の上司に当てはまるわけではありません。個々の上司の性格や経験は多様です。大切なのは、個人として向き合い、互いに理解を深めていく姿勢なのかもしれません。
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